2025.07.10 コラム 「年収160万円の壁」と「社会保険の拡大」にどう備える?
令和7年度の税制改正によって、所得税のかからない範囲が令和7年分から年収103万円から160万円に拡大されることになりました。
今までは103万円以内に抑えて働いていたけれど、それなら160万円ギリギリまで目一杯働きたい、と思われる方もいるかもしれません。しかし、160万円の壁までの間には、社会保険の加入が必要となる壁があります。
★106万円の壁
条件によっては社会保険の加入が必要なのが、年収106万円のラインです。
次の1~5の条件をすべて満たす場合は社会保険(厚生年金・健康保険)への加入義務が発生します。
1.従業員数51人以上の会社に勤務している
2.所定労働時間が週20時間以上30時間未満である
3.月額賃金が8万8,000円以上(年収106万円以上)である
4.2か月を超えて働く予定がある
5.学生ではない(休学中・夜間学生は除く)
★130万円の壁
上記の5つの条件に当てはまらず、年収130万円以下の人は家族の社会保険の扶養に入ることができるので社会保険料は発生しませんが、130万円を超えれば、原則として自身で国民年金・国民健康険への加入義務が発生します。
これから103万円を超えて働こうとした場合、106万円または130万円の収入ラインで、社会保険料の負担が発生することになります。
また、106万円の壁とされている社会保険の加入条件は、今後さらに拡大していきます。
※条件1:令和9年10月から段階的に撤廃され、令和17年10月までに完全に廃止
※条件3:令和8年10月から3年以内に廃止
社会保険に加入し控除額が増えることにより、手取り額が減ってしまう可能性がある一方、収入が130万円を超えても一定額までは所得税がかからないことや、将来もらえる年金額が増えるといったメリットもあります。加入のメリット・デメリットを再度洗い出し、働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料:厚生労働省HP 【「年収の壁」への対応】